複数人と合意のうえで恋愛するポリアモリーとは？【定義】

更新日： 2023年04月28日

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「ポリアモリー」という言葉を聞いたことがありますか？
近年、映画やドラマ、雑誌等でも取り上げられる機会が増えており、耳にされた方もいらっしゃるかと思います。
「恋愛関係の何か・・・だったような？・・・」
「説明できるほどの深い知識は・・・ないかも」
という方へ、「ポリアモリーとは？」について、ご紹介していきます。
この記事の監修者

きのコ

ポリアモリー／ノンバイナリー（ジェンダークィア）／パンロマンティック／パンセクシャル／発達障害（ASD）／多拠点生活／シェアハウス経営／狩猟／サバイバルゲーム／筋トレ／ポールダンス／ボルダリング／被写体／混浴温泉／全身タイツ／フェティシズム／デートレイプ中絶サバイバー／ビッチフェミニスト／いなフリ39期／DbD

◆主な著書
わたし、恋人が2人います。〜ポリアモリーという生き方〜

ポリアモリーとは？【定義】

ポリアモリーとは、関係者全員の合意を得た上で、複数のパートナーと関係を結ぶ恋愛スタイルです。
「poly」（ギリシャ語で「複数」の意味）と「amory」（ラテン語で「愛」の意味）の二つの言葉を組み合わせて造られた造語で、直訳すると「複数愛」です。

複数愛と聞くと、
「それって、二股や浮気と同じなのでは？」と思いますよね。
ポリアモリーの特徴は、関係者全員の合意を得ているところです。
もし、一人でも合意していない、またはパートナーに嘘をついて恋愛をしていれば、それは「浮気」となるのです。
パートナーに、「恋愛対象の相手が他にもいる」ことをしっかりと合意してもらい、同時進行でさらなる恋愛関係を築くのがポリアモリーです。なので、単に複数のパートナーがいるだけでは該当しません。

また、それぞれの相手と精神的な結びつきがあって身体だけの関係ではないため「セフレ」とも異なります。肉体関係もあるので「セカンドパートナー」とも異なります。

• ・愛する人のことが大切だから、相手に嘘はつかないで正直に話すー。
• ・自身の考え方を押し付けることもしないー。
• ・何度も話し合って合意してもらった上で、それぞれとの関係を続けていきたいー。

ポリアモリーは、自分の恋愛観に正直であるとともに、恋愛相手にも誠実であることを大切にしているのです。

複数の相手に序列はあるの？

ポリアモリーには、恋愛対象者が複数いますが、それぞれの愛情に優劣があるとはかぎりません。
自分が恋愛感情を抱いたということは、それぞれの人に違う魅力があるからこそ、心奪われて惹かれているのです。
そのため、付き合った順番が後か先かで、愛する度合いを測ることはできません。
それぞれの個性を尊重しているので、むしろ、「この人が一番」「あの人が二番」という、順番や序列をつけないポリアモリーも大勢います。一方で、「プライマリパートナー」「セカンダリパートナー」という序列をつけるポリアモリーもいます。
相手は複数いますが、どの人も、かけがえのない、大切な存在なのです。

どこからどこまでが浮気なの？

ポリアモリーの基本的概念では、関係者全員の合意を得ているとお伝えしました。
それでは「浮気」という考えは当てはまらないのでしょうか？　いいえ、ポリアモリーにも「浮気」は存在します。
それぞれの考え方がありますが、ポリアモリーである関係者以外の方との関係は浮気とみなされるケースがあります。

また他には、「自分はポリアモリーだから」と言いつつ実際には合意を得ずに複数人と付き合うなど、浮気の言い訳として使うことがしばしばあります。
まだあまり認知されていない言葉なので、浮気性の方にとっては都合のいい言葉なのかもしれません。

相手に嫉妬しないの？

恋愛に嫉妬はつきものです。
そのため、「ポリアモリーは、相手に嫉妬しないの？」という素朴な疑問が湧きます。
確かに、ポリアモリーは関係者全員の合意の上に成り立っている恋愛関係です。
とはいえ、誰しも感情がありますし、虫の居所が悪いこともありますよね。
やはりポリアモリーにとっても、嫉妬とは無縁とは言い切れないようです。

JobRainbow MAGAZINEの記事によると、ワシントン大学のアナポール氏が1000人以上の
ポリアモリーに行った調査では「嫉妬を経験したことがあるか？」の問いに、8割の人がYESと回答したそうです。
しかし、注目したいのは、最も多かった回答が独占欲ではなく、不安からくる嫉妬だった点です。
パートナーへの独占欲が強ければ強いほど、
「私だけを見ていてほしい」
「仕事が終わったら、どこにも寄らずにまっすぐ家に帰ってきて！」
と、相手を束縛したくなります。
これに対して、不安からくる嫉妬は
「自分が見捨てられるのではないか」というように、相手ではなく、自分への自信のなさ、自己肯定感の低さが表れているのではないでしょうか。

ポリアモリーの方の結婚観

ポリアモリーに対して、一夫一妻制のように「一人だけを愛する」という恋愛観はモノガミーと呼ばれています。
日本では、重婚は認められておらず、結婚は一夫一妻制の考え方に基づいています。
ポリアモリーの恋愛観は、一対一ではなく複数なので、結婚という形に固執するとはかぎりません。
しかし、ポリアモリーでも結婚している方もいます。その方たちは、結婚相手とは別に、合意の上で複数の相手と親密な関係を築いています。
また、ポリアモリーは自分の気持ちに忠実です。結婚していても自分の気持ちが変われば婚姻関係を終了させ、離婚の選択をする場合があります。
必ずしも婚姻関係を継続させることが正しい、幸せであるという考えではない人もいるため、
「この人とこのまま結婚していても、意味がない」と思えば、夫婦関係を解消し、新たな関係性を模索していくのです。

日本と海外での違い

日本では重婚が禁止されており、一夫一妻制です。そのため、ポリアモリーの恋愛観はまだ浸透しているとはいえません。情報も少なく、理解が広まっていないため、否定的に捉える人もいます。
また、自分がモノガミーではないと認識していない人も多いのが現状です。ポリアモリー同士の交流もあまり活発ではないといえます。
一方、海外に目を向けると、一夫多妻制が認められている国もあります。アフリカ、特に西アフリカでは、一夫多妻制の婚姻率が高いと言われています。
また、イスラム教の聖典「コーラン」には経済的扶助の手段として、
「男は四人まで女を妻にすることができ、その妻には差異を設けてはいけない」と書かれています。そのため、イスラム教信者の多い国や地域では、一夫多妻婚を行う人が多いというのも納得です。

参考：一夫多妻制（世界結婚制度分布表）by 花嫁の心得

【独自アンケート】ポリアモリーについて徹底的に調査してみた

ポリアモリーの認知度や実態を調査すべく、今回e-venzでは20代から50代の既婚者を対象にポリアモリーに関するアンケートを実施しました。

それでは、見てみましょう！

ポリアモリーは知ってる？

まずは、どれだけの人が「ポリアモリー」を知っているのかを調査しました。

男性7％、女性６％と男女共に「ポリアモリー」の認知度は低い結果となりました。

では、合意の上で複数人と恋愛関係になる「ポリアモリー」がおかしいと思うか聞いてみました。

ポリアモリーはおかしい？

複数の人と恋愛関係にある「ポリアモリー」はおかしいと思うのか調査しました。

男性が約4割、女性の約６割が「ポリアモリーはおかしい」と回答しています。
年代別では男性が20代・30代・40代が約3割、50代が約4割となっており、女性が20代・30代・40代が約5割、50代が約6割でした。

では「ポリアモリー」のことを気持ち悪く感じるのか調査してみました。

ポリアモリーは気持ち悪い？

次に「ポリアモリー」を気持ち悪いと思うか聞いてみました。

男性は調査したすべての年代で30％台の割合でした。女性は20代～40代が約半数、50代の約6割が「気持ち悪い」と回答しています。
女性の方が良い印象を持っていない結果となりました。

引き続き「ポリアモリー」の方がどのくらいいるのか聞いてみました。

ポリアモリーはどのくらいいるの？

では、実際にどのくらいの方が「ポリアモリー」なのか調査しました。

今回の調査では、男性が20代33％・30代12％・40代9％、50代3％の順になっており、女性は30代10％・40代と50代1％・30代が0％でした。
全体では男性5％、女性2％という結果になりました。

それでは、ポリアモリーの方は自分自身がつらいのか聞いてみました。

ポリアモリーはつらい？

「自分はポリアモリー」と答えた方へつらいか尋ねてみました。

男性が38％、女性が63％の方が「ポリアモリーはつらい」と回答しています。
複数の人と恋愛関係を結ぶ「ポリアモリー」は、本人たちが合意の上とは言え周囲から理解を得ることが難しいと考えられます。
そのため、複雑な心境を抱えている方も多いと思われます。

ポリアモリーの芸能人・著名人

「ポリアモリーの方が身近にいないので、よく分からない」という方も多いでしょう。
実際に、ご自身がポリアモリーだと公言している芸能人・著名人は少なくありません。
ここでは、ポリアモリーの方々をご紹介していきます。

叶恭子さん（叶姉妹）

豪華な衣装、アクセサリーを身に着けて、ゴージャスという言葉が本当によくお似合いの叶姉妹。
姉の恭子さんは、いつも数人のグッドルッキングガイと一緒で、本当に羨ましい限りですよね。恭子さんは、ポリアモリーであることを公言しています。ポリアモリーについて、そして自身の恋愛観にブログの中で言及しています。

（ポリアモリーは）浮気でも不倫でも二股でもない、むしろ「誠実で正直な複数恋愛」です。

わたくしは いわゆる恋人というカテゴリーを持ちません。
「僕って何？」と聞かれたら、あなたが自分で考えて決めて下さいといいます。
もちろん、おつきあいしているのは”あなたひとりではない”ということを
ごまかさずはっきりとお伝えしております。
ですから、「浮気」などという言葉も無縁です。
どの瞬間も新しくフレッシュなラブがそこにあるのですから。

わたくしの願望なのですが、
わたくしの心をすべて奪われて、頭がおかしくなるくらいの恋愛をいちど経験してみたい、と常々思っております。わたくしはおそらく相手を深く愛したことがないのでしょう。その前に飽きてしまうから。
しかし、猫のネイチャーのようなわたくしの誠実さはいつも、どなたに対してもですよ。

引用：https://ameblo.jp/kanosisters/entry-12646645862.html

恭子さんは、どの方に対しても誠実なのですね。愛の在り方、向き合い方について、飾ることなく書かれています。

きのコさん（文筆家・編集者）

「わたし、恋人が2人います。～ポリアモリーという生き方～」の著者、きのコさん。
きのコさんは、小さい頃から「好きな人が一人しかいない」という時期がほとんどなかったそうです。
そして、男性も、女性も、トランスジェンダーやXジェンダーなどの方も恋愛対象なのだとか。性別にこだわらず、その人を人として愛しているのですね。

「嘘を付かれている」ということが何よりも傷つきますし、自分自身も、相手にも自分にも嘘をつきたくないんです。それは「エゴ」と言われればそうなのかもしれませんが、なにより自分の気持ちに正直でいて、それについて相手に合意してもらう関係こそ、私が愛を考える上で重要なことなんですよね。

引用：https://forzastyle.com/articles/-/49087

自分の気持ちに噓をつかず、自分自身を大切にされているー。
そして、相手の方にも誠実でありたいというのが伝わってきます。
これが、ポリアモリーの方の根底にある考え方なのですね。

西山嘉克さん（書道家）

書道家として活動する西山嘉克さん。
2012年にゆかりさんと結婚しましたが、その半年後に同じ事務所で働いていたシングルマザーの裕子さんを好きになります。
悩んだ末に、嘉克さんはゆかりさんに自分の気持ちを正直に打ち明けました。
そして「誰かが不幸になったらやめる」という条件のもとで、一夫二妻の生活をスタートさせたのです。
婚姻関係は、ゆかりさんと籍を入れてその後離婚し、裕子さんと籍を入れてその後離婚しています。
つまり、戸籍上は３人とも独身なのですね。

３人に「誰が一番好き？」と聞いたら、みんな「自分」って言います。
世界で一番自分を愛しているのは自分！とお互いに言えるときはうまくいっています。

引用：https://grfft.com/tokyograffiti/contents/16627498/

人を愛する前に、まずは自分自身がいちばん自分のことを愛していることが大事なのですね。

文月煉さん（ライター・編集者）

ライター業の文月さんは、既婚者で複数の恋人がいらっしゃいます。
文月さんは、自分ではポリアモリーという言葉を使わず、自分の恋愛観について、独占しないされない恋愛、「非独占愛」と表現されています。
一般的に、恋人になると相手の恋愛を独占する権利を持ち、自分以外に恋愛感情が向く浮気や不倫はあるまじき、許されない行為だと捉えられます。文月さんにとっては、恋愛が複数あることは重要ではなく、相手を独占しないことが根底にあるため「非独占愛」なのですね。

ソルトさん（絵描き）

ソルトさんは、絵描き・イラストレーターとして活動されています。
ご自身で、以下のように表現されています。

現在は男性でも女性でもない「中性／エックスジェンダー」として生きています。
好きになる相手の性別を問わない「全性愛者／パンセクシャル」です。
複数の人を好きになる「多愛／ポリアモリー」です。

「多数／マジョリティ」か「少数／マイノリティ」か
「男性」か「女性」か

そんな二択しかない社会ではなく。
「多様／ダイバーシティ」である社会であってほしい。
＂わたしもまた、あなたと同じ「人間」です。＂

これを伝えるために。知ってもらうために。絵描きとして活動しています。

引用：https://ameblo.jp/siromegane00/entry-12340266494.html

「男なんだから・・・」とか、「女性らしく・・・」とか、私たちは日頃、無意識のうちに自分や他人の性別を意識しているのかもしれません。
ソルトさんから発信される、「性別に捉われない生き方を通して、あらゆる可能性を伝えたい」というメッセージに、救われる方は多くいらっしゃることでしょう。

ポリアモリーチェック診断

自分の気持ちに正直に向き合って、相手のことも尊重する恋愛観ー。
ポリアモリーっていいな、憧れるなと思う方もいるかもしれません。
ポリアモリーに向いている、反対に向いていないのはどのような人でしょうか。

ポリアモリーに向いている方

• ・本気で好きになる人が、同時に複数人いる
• ・特定の恋人やパートナーがいても、別の人にドキドキすることがある
• ・浮気・二股・不倫をしたことがある
• ・相手の気持ちを尊重し、束縛しない
• ・相手に信頼、安定感を求める
• ・自分を大切にする自己肯定感が高い
• ・自主性があり、自分で決断できる
• ・柔軟に物事を考えられる
• ・他人と比較しない

自分の恋愛観は一般的ではないのだろうか、「人と違うこと」は怖い、好奇な目で見られるかもしれない、それなら自分を偽って本当の気持ちは隠しておく方が楽に生きていけるのではないかー。そんな葛藤があるかもしれません。
でも、みんながみんな、そんなに強くないし、自分の気持ちを押し殺し続けるのは苦しくて辛いものです。
「自分は自分、それでいい！」
「自分を誰よりも理解して認めてあげられるのは、自分しかいないんだ！」と思える人は、同じように相手のことも大切に考えてあげられるのだと思います。

ポリアモリーに向いていない方

• ・相手を束縛しがち
• ・感情をコントロールするのが苦手
• ・「結婚＝安心、安定」という固定観念がある
• ・臨機応変な対応が苦手
• ・「周囲の人はどう思うだろう？」と、第三者の目を気にしてしまう

相手を思いやる気持ちがない方は、ポリアモリーにはあまり向いていないといえます。
ポリアモリーは、話し合って相手の合意を得ることが大前提です。
「なんで、私のこと、察してくれないの？　もういい！」とキレてしまっては、元も子もありません。

もしかしてポリアモリーかも？

ポリアモリーについて調べているうちに、
「自分にもあてはまる！もしかして、自分はポリアモリーかもしれない」と思う方もいるでしょう。
ポリアモリーという恋愛スタイルは、ひとくくりにするのは難しいものです。
ご自身で物心ついたころから自覚がある方もいれば、結婚後に初めて自分で気付く方もいるのです。
ポリアモリーについて、もっと詳しく知りたい、ポリアモリー同士で話をしてみたいという方向けに、「ポリーラウンジ」があります。
ポリーラウンジは、Twitterで「ポリー（ポリアモリー／ポリガミーの方）およびポリーフレンドリーな方なら、年齢・セクシュアリティ・恋人の有無等に関係なく、誰でも参加できる交流会です。関東、関西、九州を中心に不定期に開催されています。」と紹介されています。
身の回りにポリアモリーの方がいなくて話せる人がいないという方にとっては、心強いですね。ランチやオフライン企画・オンライン企画など、各地で開催されているので興味のある方は参加してみるのもおすすめです。

まとめ

ポリアモリーという恋愛観は、決して特殊なものではありません。
隠すものでもなければ、改める必要もないのです。
恋愛観は明確でも、ポリアモリーの方それぞれ性格は違いますし、好きになる人もさまざまです。
共通しているのは、相手に執着しすぎないこと、自分を否定しないで大事にされていることです。
「自分のことが好き！」
「好きな相手が複数人いて、どの人のことも大切に思っていて大好き！」
自分が心から好きなものを好きだと言えること、好きだと感じられる気持ち、そして恋愛ならではの楽しさ、嬉しさ、幸福感をたくさん味わうことができるのです。
ポリアモリーは、まだ日本では広く知られているとはいえないのが現状です。
「多趣味で好きなものがたくさんある」
「親友はもちろん、友達がめちゃくちゃ多い」といった会話と同じように
「わたしはね、今、大好きな人が3人いるんだ」
と、オープンに、気軽に話題にできる世の中であってほしいですね。